84番札所、屋島寺。

85番札所、八栗寺。

86番札所、志度寺。

87番札所、長尾寺。

いよいよ、あとは大窪寺を打つのみ。
その前に、
四国へ立つ前、ここだけは行こう、と決めていた場所が1つだけあった。
84番と85番の間にある「山田家」、うどん屋である。
日本全国を食べ歩いた食通が、四国に行ったらここだけは欠かせない、
と言ったとか言わないとか。
それを聞きおぼえていて、なんとしてもここだけは行こう! と決めていた。
四国のうどんは、関東のそれとは別物である。
とにかく美味い。
以前、香川出身の知人に、そんなにうどんが美味いのか、と聞いたことがある。
その知人が、関東のうどんは食えない、と言っていたが、それは当然だろう。
この遍路の道中、行く先々でうどんを食べてきたが、
やはり本場は讃岐なのだろう、四国でも讃岐から離れるにつれて、
その味はどんどん落ちていく気がした。
高知などは、関東とさほど違わないような店もあった。
愛媛に入るや、また味は上がっていく。
そして讃岐に入ると、やはり美味い。
しかし、実はこれまで食べたうどんで1番美味いと思ったのは、
讃岐ではなく、徳島の店だった。
ま、徳島とはいえ、讃岐との県境で、当然激戦区であろうから、
そういうこともあるだろうな、とも思っていたのだが……
この山田家さん、美味かった。
評判通り。
間違いなし。
この道中食べたうどんの中で、1番です。
ここだけはと思って、来てよかった〜

そして、そして、
ここにきて、またたくさんの方からお接待を頂いている。
もう一昨日になるが、高照院への道中、喉が渇いて自販機で水を買っていたら、
原チャリで通りかかったおばさんがいきなり降りてきて、
財布の小銭を鷲掴みにして、道中のジュース代にと頂いた。431円もあった。
そのおばさんも、お大師様を回ったことがあるという。
そして今日は、八栗寺への坂道の途中、
餅屋のおばさんに強引につかまって、草餅を2つ頂いた。
「この坂の上のとこ、赤いポールがあるでしょ。
そこの家いってお茶もらいながら食べな。ほら、そこに赤いの、あるでしょ」
そう言われたら、寄らざるを得ない。
ただ、当然、このポールの家は、餅屋のおばさんの家ではない。
なんか、お接待を無心するようで、ちょいと気まずかったが、
とりあえず、ポールのお宅でお茶をご馳走になりながら、草餅を頂く。
そこのご主人曰く、「餅屋に捕まったモンは、皆ここに来る」と(笑)
志度寺への道中では、車で売り歩いているパン屋の横を通り過ぎようとしたら、
そこのおばさんと目が合うなり、これ持ってきな! といって
3個もパンが入った袋を頂いた。
どうもそのおばさんは、息子さんがやっている店を手伝っていたのだと思うのだが、
それから後ろを振り返って、
「な、ええやろ、ええやろ」
と、息子さんに言っている。
言われた店主の息子さんはといえば、パンはもう遍路の手中、苦笑いである。
こちらもお接待頂いたものを遠慮する訳にもいかず、苦笑いである。
そして志度寺の山門をくぐったとき、二人連れの年配の女性とすれ違い、
声をかけられた。
こちらの風体から通しの歩き遍路とは、見る人が見ればすぐに判る。
「とても良いお顔をなさってるわ。ぜひお接待をさせて下さいな」
そういって500円玉を差し出された。
良いお顔、と言われて少し気恥ずかしかったが、
その顔に多少の心当たりが無くもない。
初日に金泉寺で会った、結願間近のお遍路さんの顔を思い出した。
その二人連れの方は車で回っているらしく、
「私も歩いて回りたいのだけど、膝が悪くてとても無理」と。
500円玉は有難く頂いた。
いよいよ、遍路はあと1寺で終る。
これまでお接待を頂いた多くの方々の思いを背負って、明日、結願寺に上ります。
宿:ながお路 歩数:42,663